平成13年1月16日のお昼、我が家の、実家の愛犬ラッキーちゃんが 死んでしまいました。15 歳のおばあちゃんです。 病気とか怪我とかいうわけではなく、寿命ですね、 犬にとって 15 歳というのは大往生でしょう。 つい先日まで、ヨロヨロながら自分で歩きまわっていたし、 苦しまずにポックリいってくれたようなので、 良かったと考えるべきなんでしょうね…。
彼女がうちにやってきたのは 1985 年の夏、8月だったかな。 弟が拾ってきました。子犬というより、赤ん坊でしたね。 それから 15 年と半年、私の人生の半分にあたります。 私が独り暮らしを初めてもうすぐ3年だけど、 時々うちによっては顔を見てました。 月に1回行くかどうか、という感じだったけど、 ちゃんとおぼえているもんですね、遊んでくれと寄ってきました。 この数年は、すっかり耳も聞こえなくなって、呼んでも まったく気付かなかったけれど、目と鼻で分かるんでしょう。
高校生のころは、毎日、散歩に行きました。 行儀の良い犬ではなかったので、飼い主の隣をゆっくり歩く、 と言うわけではなく、我先にと走りたがるラッキー。 私もちょうど運動になると、よく走りました。 散歩用の紐を見せると、喜んで飛び跳ねましたよ。 頭の良いもんですね、「さんぽ」という言葉をおぼえて、 「散歩行くか?」と聞くと分かるのか、自分で紐のある ところへ走っていきました。いつもの散歩の時間に、 運動靴を履こうとすると、ワンワンと喜びました。
そんなラッキーも、すっかり歳をとって、気持だけは走りたがる けれど、体がついてこなくてヨロヨロと早歩きする…、ただ歩くだけに なってしまっていました。昨年末、11 月末に、外の道路の方を 眺めていたので、久し振りに散歩に連れていってやりました。 昔のようには全く走らず、ただトボトボと歩くだけだったけど、 ラッキーも久し振りで楽しかったのか、なかなか帰ろうとしませんでしたよ。 あれが最後の散歩になってしまったんだね…。
脱走してしまったことも、何度かありました。 都会、というところでもないけれど、裏には大きな道路も 走っていて、今の世の中どこも危険です。 いつだったか、また脱走して、呼んでも戻って来ませんでした。 しばらくしてから、後ろ足を引きずりながら自力で戻ってくる ラッキー。車にでもあたったんでしょう。もしかすると、 気絶していたのかもしれません。命に別状はなかったけれど、 骨盤が少しずれているとのこと、産道が圧迫されて 子供は産めないだろうと、獣医さんに言われました。
怪我をする前のことなので、ずいぶん昔のことになります。 まだ私が高2の時だったかな。 ラッキーちゃん、いつのまにか妊娠してて、 夜遅くに8匹も子犬を産みました。2匹は翌朝までに 死んでしまったけれど、6匹は元気に育ち、なんとか里親を探して もらわれていきました。子供を産んだのはそれ以来ないけど、 彼等は元気にしているんだろうか。生きていたとしても、 すでに 13 歳、おじいちゃん、おばあちゃんですね…。
ちょうど5年前のことです。正月元旦早々から体調を崩して、 動物病院へ行ったこともあります。 その時すでにおばあちゃんの仲間入りだったし、 もうダメかな、とも思ったりしました。 でも、回復して元気になってくれました。 その時、寒いからと玄関の中に入れてやり、敷物もひいてやった せいか、それから玄関を自分の場所だと思うようになってしまいましたね。
玄関と言えば…。うちの中でおやつでも食べていると、 玄関の中でうちの中を向いて「おすわり」して、 顔を、あごを玄関にのせて、じーっと待ってたりもしました。 こっちも、じーっと見るだけで動かずにいると、 ふと首を傾げるようなしぐさも…。 自分のシッポを追い回して、くるくるまわってることもありましたね。
シッポと言えば…。どこかで怪我をしたのか、なんなのか、 痛痒いんでしょうかね、自分のシッポの先をかじっちゃったんです。 結局、やむなく病院でシッポの先を少し切って、手術してもらいました。 その治りかけがまた痒いんでしょうか…、またまたかじっちゃったんですよ。 もう一度手術して、今度は「エリザベスハット」に加えて「パンツ」 まではかせました。でも、用を足したいときはちゃんと言うんですね、 えらいえらい!
実家に両親2人だけになってからは、旅行に行ってしまうときなどに、 何度かお留守番に行きました。ラッキーちゃんや鯉の餌やりに。 それも、もうしなくて良いんだね…。 昨年の夏、暑かった頃に、食欲が落ちてたみたいで、 そろそろお迎えかな…、とも思ってましたが、涼しくなったら またちょっと元気が出てきてました。それからこの冬の寒さ。 年末くらいから、「そのうち実家から電話があるんじゃないか…」とは 思っていたけれど・・・。
この数日の寒波がこたえたんだろうか。 いや、あれだけ生きていられたんだから、十分だよね。 八つ当たりしたことも、あったりしたけれど、ごめんね。 最近は毎日、一緒にいたわけではないけれど、楽しかったよ。 悲しくないとは言わないけれど、悲しんでちゃいけないかな…。 私がラッキーのところへ行くのは、まだまだ先だろうけど、 また一緒に散歩でもしような・・・。 そのうち、写真の1枚でもここにはってやるね。
あれから数回、実家へ用事があって寄りました。 つい、目で探してしまうんだよね、ラッキーを…。 ふと、犬小屋の方を見てしまう・・・。 部屋の中にいても、なんだか鳴き声が聞こえたような、 ラッキーが呼んでいる気がしてしまって。 写真は、'91 年の春のものです。 若いなぁ。ラッキーもうすぐ6歳、って頃です。 う〜ん、私も若いなぁ・・・。