この場合の記号というのはいろいろある。言語の場合は言語記号というが、基本は音(おん)というか音形である。読書の場合は文字記号である。例えば、ある人が着ている衣装や髪型なども立派な記号である。民族によって民族衣装が違うように非常に顕著な場合もあれば、どのブラン ドを選んで身に付けているかという分かりにくいものもある。熱帯魚があんなにカラフルなのは多くの種が繁栄できる熱帯だから、他の熱帯魚ときちんと区別でき るような記号を模様にしているのである。
シャーロック・ホームズの専門は記号論だった(詳しくはシービオク『シャーロック・ホームズの記号論』岩波書店)。さまざまな残された証拠=記号を読み解くこと によって犯人=意味を見つけだす。ちょうど記号の断片を集めて作るジグソー・パズルのようなものである。