朝ドラの記号論
NHKの朝ドラを考えてみたい。
- これは「朝の連続小説」となっているくらいで、小説をドラマ化した ことになっていて、必ずナレーションが付く。
- 「おはなはん」の頃からほとんど同じである。やたら元気のいい女性が出てきて(木か屋根に登るのが普通で「はね駒」では初回から木に登り、そのうち屋根に も登った)、名前も「うらら」とか「ひらり」とか「あぐり」(当時は珍しい名前でなかったが)とか「なずな」とか「オードリー」とか「木葉」(このは)とかかなり変わった名 前や男優りを表す方言の名前を持っていて多くの場合、家庭環境やその後の人生と関係のある命名になっている。また、これはフツーの女性とは違う、つまりド ラマに取り上げるに足る女性だということを示している。
- 舞台は東北か北海道など鄙びたところが多い。周りには自然が残っていることが多いが、もちろん、都会の話には直接出てこない。それでも実家とか、引っ越 し先が田舎になる。都会では下町ということもあるが、人情の厚い地域に住む。
- お父さんは頑固で、お母さんは優しいのが普通である。
- もちろん、徹底的に意地悪する人が用意されている。逆に幼なじみで親切にしてくれる男性が傍らにいる。結婚相手にはならない。2,3週間後に運命の人が提 示される。
- 昔は結婚相手がぼんぼんで人にだまされて苦労するというのが多かったのだが、さすがに少なくなった。
- 戦前から始まると大震災や戦争がクライマックスで、苦労が次々にやってくる。戦後の話だと阪神大震災やバブルをどう乗り越えるかが中心となってくる。
- 運命の人はぼんぼんでなければ、薄幸か、無能か、早死に、または単身赴任である。
- 田舎で始まるが、しばらくすると舞台は東京か京都か大阪になって、都会的な苦労をする。最初に置き引きされるのが普通だが、親切な人が拾ってくれ、その ままお世話になる。
- 主人公は「たくましく」生きることになっている。けなげだ。
- こうして伝えられるメッセージというのが「女性は逆境にもめげず、けなげに苦労をしながら一生を生きていきなさい」というものである。